top of page

海外のカスハラ対策は?声を荒げたら一発アウト。プライベートジェットCAが見た、人と人の接客

3 時間前
読了時間: 4分

みなさん、こんにちは!株式会社グランジュテ・インスティテュートの今泉麻衣子です。


現役プライベートジェットCAとして20年以上、世界88カ国・VVIP数千人と向き合ってきました。 その経験をもとに、いまは企業や組織のホスピタリティ研修をおこなっています。



2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)への対策が、企業の義務になりました。


接客の現場からは、「お客様に強く出てもいいの?」「どこまで丁寧に対応すればいいのか、温度感が難しい」という戸惑いの声も聞こえてきます。


私は、カスハラ対策とホスピタリティは、ぶつかるものではないと考えています。海外の現場で見てきたことも交えながらお話ししますね。



カスハラ対策の義務化と、現場の戸惑い


カスハラ対策は、もう「やったほうがいいこと」ではありません。


改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、企業はカスハラへの方針を決めて社内に伝え、相談できる体制を整えることなどが求められています。



ただ、長くホスピタリティを大切にしてきた現場ほど迷いもあると思います。 「お客様にきっぱり言うなんて、失礼ではないか」 「お客様を疑ってかかるような接客になってしまうのでは」と。


その迷いは、お客様を大切にしてきたからこそ生まれるもの。 だから私は「カスハラ対策=ホスピタリティを手放すこと」だとは思っていません。



「あっち行け」と言われた私の経験


カスハラに対して、私の経験を振り返ってみます。エアラインの国際線に乗務していた、社会人3年目のことです。


日本を出発する便で、あるお客様に突然大きな声で「お前、あっちに行け!」と指をさされました。私が何かをしたわけではありません。新聞や雑誌をお配りして通路を回っているときにも、同じように声を上げられました。


1年目の私だったら、怖くて泣いていたのではと思います。でも3年目になっていたので、まず冷静に、そのクラスの責任者に状況を伝えました。


そこからは、そのお客様がいるエリアには私が関わらないようにして、反対側の通路を担当し、フライト後にレポートも上げています。


当時はまだ「カスハラ」という言葉はありませんでしたが、今ならきっと該当すると思います。


周りに伝えて、担当を替えて、記録を残す。こうしてチームで受け止めることが、私を守ってくれました。



海外のカスハラ事情は「声を荒げたらアウト」



海外では、感情的に声を荒げた時点で、話し合いは終わりです。 私が海外滞在中に感じるのは、声を荒げることへの線引きがとてもはっきりしているということ。

たとえカフェでも、お客様が感情的に怒鳴れば、お店の人がすぐに警察を呼びます。


私が見てきた範囲では、日本のように「怒鳴ってしまっても何となく許される」という場面はありません。怒鳴ることはNG、これが国や文化を超えた共通のルールだと感じています。


私自身もそのルールを意識した場面があります。


今年の2月、中東で、機内で使うテーブルリネンをクリーニングに出し、後日受け取ったときのことです。返ってきたのは、別の会社のリネンでした。


「これは私たちのものではありません」と伝えても、相手は「あなたたちのリネンだ、間違えていない」の一点張りです。


何度説明しても分かってもらえず、とてもストレスでした。


それでも、自分を失うような言い方は絶対にしないと決めていました。「Could you double check with your office again?」と、最後まで丁寧に対応するようにしました。


結局リネンは見つかりませんでしたが、「最後に声を荒げたほうが負け」という空気は、世界のどこでも共通しています。



「お客様は神様」から「人と人」へ



カスハラ対策は、お客様を突き放すことではありません。人と人として、お互いを大事にし合う接客に戻ることです。


日本には「お客様は神様」という言葉があります。けれど、それが「お客様だから何を言ってもいい」という思い込みにつながる可能性もあります。


たとえば、年上の男性のお客様が、若い女性の店員さんに「かわいいね、いくつ?」と声をかけて、無理やり写真まで撮ろうとする。「自分は客だぞ」という気持ちが、どこかにあるのかもしれません。


でも、もし自分の娘が同じことをされていたら、許せますか?


「お客様と店員」という役割だけで見ると、相手の気持ちが見えにくくなります。目の前にいるのは誰かの大切な家族。そう立ち返れば、何がよくて何がよくないのかは、自然と見えてくるのではないでしょうか。


「お客様は神様」から、「人と人」へ。これは、私がずっとお伝えしてきたホスピタリティの考え方でもあります。



接遇は、どちらか一方が我慢するものではありません。 お客様も働く人も、人として大切にされる現場が、ひとつでも増えたら嬉しいです。


カスハラ対策や、スタッフを守りながらお客様を大切にするホスピタリティについて、研修でお伝えしています。


社員教育や研修テーマに悩んでいる方がいらっしゃいましたら、まずは今の状況をお聞かせください。


ホスピタリティ研修、接遇研修、講演のご相談は、HPよりお待ちしております。

 
 
bottom of page