プライベートジェットCAの魔力。なぜ20年飛んでも飽きないのか
- 7月24日
- 読了時間: 4分

みなさん、こんにちは! 株式会社グランジュテ・インスティテュートの今泉麻衣子です。
このプライベートジェットシリーズも、いよいよ最終回です。 前回の記事はこちら>
エアラインとの違いからはじまり、仕事量の話、市場での食材調達、12品のコース料理、1週間前から始まる準備、異文化チームとの働き方。沢山お話ししてきました。
最後にお伝えしたいのは、それでもなぜ20年以上続けてきたのかという話。 一言で言うと、この仕事には魔力があります。
レジリエンスが身についた

去年は58本のフライトに乗りました。 長いものは15時間を超えますが、飽きたことは一度もありません。
なぜなら、同じフライトが一つもないから。 お客様、場所、起きる出来事が違います。
毎回まったく新しい状況のなかで、今できる最善を考えながら動きます。
そもそもプライベートジェットは予期せぬトラブルが日常茶飯事です。 本当に大変。正直しんどいことも泣きたいこともあります。
しかし、感情的になっても状況は変わらないですよね。 「今、自分に何ができるか」を冷静に考えて動くしかないのです。
そうやって、しなやかに乗り越える力=レジリエンスが少しずつ育ってきました。
大変だけど、楽しくて、楽しくて。気が付いたら20年以上続けていました。
世界基準のホスピタリティを極める

プライベートジェットを利用するVVIPのお客様は、ご家族でお乗りになることがあります。
あるフライトで、お父様がお仕事をされている間、小さな子供が私のそばにいました。
絵本を持ってきて「読んで」と言う。 読み終わると「もう一回」と言う。5回、6回と読み続けました。 まさかの、機内で「だるまさんが転んだ」もやりました。
当たり前かもしれませんが、世界を飛び回るVVIPのお子様も、機内では普通の子どもです。
世界基準のホスピタリティというのは、"相手を「肩書き」で見るのをやめたところから始まる"と思っています。
どんなに著名な方でも、そのご家族でも、目の前にいるのは一人の人間。 その人と対等な立場で喜びを共有できる瞬間が、この仕事の醍醐味です。
マニュアルにない最高のホスピタリティを

一方で、全然違うタイプのフライトもあります。
海外インフルエンサーの方々がチャーターされた日の出来事です。 夕食が終わったあと、自分たちで音楽をかけて動画を撮り始めました。
その時私は「もっと良い写真や動画を撮れるように」「もっと盛り上がるように」と思い、機内の照明をディスコのようなライトに切り替えてみたのです。
すると一瞬機内が静まり、そして歓声が。
みんなで踊り始め、機内がパーティー会場になりました。
もちろんマニュアルには書いていない演出です。 でも、あの瞬間のお客様のはじけた笑顔を見て、「これでよかった」と思いました。
「最高のホスピタリティ」は決まった形がありません。 目の前のお客様が何を求めているかを想像して、マニュアルにない選択を自分の判断で行うのです。
デジタルやAIがどれだけ進化しても、心で繋がることは人間にしかできないと思っています。
終わりがないからやめられない

この仕事に正解はありません。
どんなに経験を積んでも、完璧だと思えるフライトはない。 「あのとき別の判断をしていたら、もっと良いホスピタリティができたかも」 「次はこうしてみよう」を繰り返してきました。
私も完璧じゃないので時に苦しいです。でもそれ以上に、面白くてたまらない。
そしてもう一つ、20年以上かけて気づいたことがあります。
それは、他者に思いやりを循環させるためにはまず自分自身を整えることが必要だと。
自分を大切にして、自分にホスピタリティを向けること。
それがなければ、お客様にもチームにも、本当の意味で向き合えないと思っています。
おわりに

お読みいただきありがとうございました。
プライベートジェットCAという仕事を、少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。
プライベートジェットCAという特殊な仕事を通じて学んできたことは、実はビジネスにも、日常の人間関係にも、そのまま活きることばかりです。
レジリエンス、段取り力、ホスピタリティ、異文化でのチームワーク………これらは空の上だけの話ではありません。
この考えをより多くの方に届けていくことが、これからの私の目標です。


