プライベートジェットCAの仕事は、離陸のずっと前から始まっている
- 7月10日
- 読了時間: 4分

みなさん、こんにちは! 株式会社グランジュテ・インスティテュートの今泉麻衣子です。
プライベートジェットシリーズの前作では、13品のコース料理を空の上で出し切る仕事術をお話しました。 前回の記事はこちら>
今回は、フライトの舞台裏である準備のリアルをお話しします。
お食事メニューをすべて設計する

フライトが決まると、まずお客様とメニューの確認をします。
大体1週間前には内容が固まっていてあとはオーダーするだけ、という状態にしておきます。
メニューの全体を設計するのはCAの仕事です。
「どんな料理を何品出すか」「どのレストランに発注するか」「何をどう組み合わせるか」お客様の好みや体調、フライトの長さ、寄港地……。 それらをすべて頭に入れながら、そのフライトだけのメニューを組み立てます。
レストランへの発注も、ただ単に「これをください」では終わりません。 機内はスペースが限られているからです。 届いたものをそのまま使えるよう、発注の段階から想定しています。
たとえばこんな発注の仕方 ・ステーキは機内で仕上げるので、グリルは50%で ・1人1人の盛り付けは機内でするから、材料ごとにまとめて ・容器はジップロックに入れて、素材別に分けて届けてほしい
また、フライトが2〜3日前に急に決まるような「ポップアップチャーター」と呼ばれる依頼もあります。その場合は、限られた時間で最善を尽くします。
「この食材は手配できませんが、このレストランからならこういう料理ができます。いかがですか?」とお客様に提案しながら、一緒に組み立てていきます。
食材も、花も、自分で手配する

フライト前には、食材の調達も自分で動きます。 フルーツやチーズは市場やスーパーで買う、という話は以前の記事でもお伝えしました。 実はそれ以外にも手配するものがたくさんあります。
お花もそのひとつ。 ホテルに滞在中の場合、近くの花屋に連絡して「この日のこの時間に届けてほしい」とお願いします。
また、食事の調達方法も都市によって変わります。
たとえば、 ・イタリアでは現地のデリバリーアプリ「Drliveroo」で発注 ・NYではケータリング会社に対して、マンハッタンのレストランへ代理ピックアップを依頼
ひと手間もふた手間もかかります。 でもお客様にお出しする料理の質は下げたくないので、できることを全部やります。
前日に機内へ入り、すべてを確かめる

フライトの前日あるいはもっと早いタイミングで、機内に入って搭載チェックをします。
私がよく搭乗させていただくお客様は月曜の朝に出発が多いので、そういう週は金曜日のうちに機内を確認しておきます。 足りないものがあれば、土日の間に補充できるからです。
チェックする内容は食材や飲み物だけではありません。
たとえば、 ・お水、ビール、ウイスキーなど飲み物の在庫 ・タオル ・ベッドリネン ・テーブルクロス ・調理用の手袋 ・お薬の搭載と消費期限 ・ビールやその他食品の消費期限
消費期限のチェックは地味ですが、とても重要です。 気づかずに期限切れのものをお出しするわけにはいきません……。 一つひとつ確認して問題があればすぐ手配します。
もちろんチェックリストはあります。 でも長くプライベートジェットCAをやっていると、リストを見なくても体が動くようになってきます。
経験は確かに蓄積されていくものだと感じます。
「CAモードに切り替え」なんてない

エアラインのCAは、シートベルトサインが消えると同時にサービスが始まります。 でもプライベートジェットCAの仕事は、そういうスイッチの切り替えとは少し違うと感じます。
私の頭のなかは、仕事中以外でも、日々プライベートジェットのことでいっぱいです。
「明日三越に寄って、フライトで使うお箸を買おう」 「イタリアで良いパスタソースを見つけたから、パイロットの家族へのお土産にしよう」 「次のフライトで出したいレシピを試してみよう」
……そんなことをいつもいつも考えています。
オンとオフの切り替えがない、というわけではありません。 ただ、この仕事への向き合い方が日常と地続きになっている感覚です。
なので、「CAモードに切り替える瞬間」なんてないのです。ずっと今泉麻衣子のままです。
次回は仕事を一緒に支えてくれるクルーの話をします。
国籍も文化も違うパイロットたちと、どうやって関係を築いていくのか?
プライベートジェットならではのチームの話をお届けします!


