心の感度を上げるために。プライベートジェットCAである私が日常で実践していること
更新日:8月11日

みなさん、こんにちは! 株式会社グランジュテ・インスティテュートの今泉麻衣子です。
前回は、気づき力が育ちにくい時代の背景についてお話しました。
では、どうすれば変えられるのでしょうか。
気づき力を育てるには、その土台である「心の感度」を磨くことが必要だと思っています。
心の感度とは、相手に関心を持ち、想像し、一歩踏み込める内側の状態のこと。 これは特別な才能でも、研修で一日で身につくものでもありません。 日常の小さな習慣の積み重ねで、少しずつ育っていくものです。
今回は、私が実際に実践していることをお話しします。
相手の名前と背景を覚えて、声をかける

プライベートジェットのフライトでは、空港のハンドリングスタッフによくお世話になります。
フライトのたびに顔を合わせる方々です。
私は、そのスタッフ全員の名前を覚えるようにしています。 名前だけでなく、出身地、家族のこと、最近の様子……
会話の中で自然に出てきたことを、覚えておきます。
そして次に会ったとき、「最近、地元に帰れましたか?」「お子さんの調子はどうですか?」と話しかけるのです。
するとある日、スタッフがこんな言葉をくれました。 「麻衣子さんと話していると、すごく自分が大切にされていると感じます」
私は何か特別なことをしたわけではありませんでした。 ただ、その人のことを覚えていて、声をかけただけです。
そもそも日本人は「言わなくても伝わる」文化で育ちます。 でも実際は、言わなければ伝わらないことの方が多いですよね。
ありがとうと思っているなら言葉にする、気にかけているなら声に出す。 そのひと手間が、心の感度を形にする第一歩だと思っています。
相手の「前後」を想像して、動く

また、気づきや感度は、「今この瞬間」だけを見ていても生まれません。
・目の前の相手がここに来るまでに何があったか? ・ここを出た後にどこへ向かうのか?
相手の前後を想像することで、初めて「今できること」が見えてきます。
例えば、私が搭乗するプライベートジェットには、朝8時に出発するフライトがあります。
そこで、まず、お客様の行動を想像します。
きっとお客様は早朝に家を出て、空港まで来られます。 そういうとき、多くの方はご飯を食べてこられません。 コーヒーだけ、という方も多いでしょう。
だから、搭乗前の段階でおにぎりを2、3個用意しておきます。 和風が好きな方なら小さなおにぎりとお味噌汁を小さなお盆にのせて。
洋風の方ならフルーツとヨーグルトを。 するとお客様には、「ちょうどお腹が空いていたから助かったよ」と喜んでもらえるのです。
お客様に「作って」と言われたから作るのではありません。 言われたからやるのではなく、想像して先回りする。 それは、心の感度を高くした上で、気づき、実践することです。
これはプライベートジェットの話ですが、日常の仕事でも同じことができます。
今日の打ち合わせの相手は、ここに来る前に何があったのか。 この後どんな状況が待っているのか。 それを少し想像するだけで、関わり方が変わるのではないでしょうか。
心の感度が高い人が増えると、職場が変わる

こうした実践は、お客様に対してだけ有効なのではありません。 一緒に働く仲間に対しても機能します。
組織についてのこんな言葉があります。
People don't quit their job, they quit their boss. 人が仕事を辞めるのは、仕事が嫌いになったからではなく、上司との人間関係に疲れたからだ。
逆に言えば、心の感度が高い上司やリーダーが一人いるだけで、チームの空気は変わります。
・名前を覚えてもらえる ・気にかけてもらえる ・ありがとうと言ってもらえる
そういう職場に、人は残りたいと思いますよね。
心の感度を上げることは、サービス業だけの話ではありません。 どんな仕事でも、人と関わる限り、必ず活きてきます。
心の感度を邪魔するのは「エゴ」
ここまで心の感度を上げる話やエピソードをお伝えしました。
しかし、いざ取り組もうとすると、必ず邪魔するものがあります。
それは「エゴ」つまり、「自分への意識」です。
次回は、そのエゴの話をします。
自信がないのも、緊張するのも、一歩踏み込めないのも、実はすべてエゴが原因だというお話です。 ぜひお楽しみに!


