あなたの職場から気づき力が消えていませんか。その背景にあるAIと即レス文化の話
更新日:8月11日

みなさん、こんにちは! 株式会社グランジュテ・インスティテュートの今泉麻衣子です。
前回の記事では、高級ホテルでの「惜しい」経験から、気づき力の大切さをお話しました。
では、なぜ今の時代は気づき力が育ちにくいのでしょうか。
今回は、その背景にある時代の大きな変化についてお話しします。
AIとロボットが何でもやってくれる時代

海外のホテルに泊まると、ロボットが備品を届けてくれることがあります。
エレベーターに乗り、フロアも移動します。
その丁寧さと正確さにはいつも驚かされます。
カフェではロボットがコーヒーを運び、レストランではタブレットで注文する。
日本でもそんな光景が、珍しくなくなってきましたね。
こうした変化は便利です。 でも同時に、「自分で考えなくてもいい」環境を加速させると思います。
AIが答えを出してくれる、ロボットがやってくれる。
その便利さに慣れるほど、自分で考える機会が減っていきます。
これは、仕事の現場だけの話ではありません。 日常生活でも、同じことが起きています。
即レス・即答が当たり前になった日常

こういうこと、ありませんか?
LINEが既読になったらすぐ返す。
SNSに投稿したらいいねの数が気になる。
AIに質問したら数秒で答えが返ってくる。
「速さ」が当たり前になった世界では、立ち止まって考えることがどんどん難しくなっています。 これが積み重なると、こういう連鎖が起きます。
立ち止まれない⇒熟考する習慣が育たない⇒想像力が鈍る⇒気づきが生まれない…… でも、気づき力は一瞬で身につくものではありません。
日常の中で「なぜだろう」「この人は今どういう気持ちだろう」と立ち止まる習慣の積み重ねで育つものです。 その習慣を奪っているのが、今の即レス・即答文化だと思っています。
職場への影響。失敗を恐れ、一歩踏み込めない若手

この連鎖は、職場にも影響を与えています。
「言われたことだけをこなす、失敗を恐れて動けない、相手の気持ちを想像できない。そういう若手が増えている」と、さまざまな現場で聞きます(若手に限らないとも思いますが)。
決して、何かを・誰かを責めているわけではありません。 即答が正解とされる環境で育てば、そうなるのは自然なことです。 「ハズレでもいいから一歩踏み込んでみる」という感覚が、育ちにくい時代になっているのかなと思います。
消臭スプレーを持ってきたホテルのスタッフも、もしかしたら「余計なことを聞くな」と言われた経験があったのかもしれません。(前回の記事参照)
マニュアル通りに動くことが正解とされる職場では、なかなか気づき力は育ちません。 お客様はもちろん、同僚同士のコミュニケーションにも支障が起きそうですよね。
AIにはできない、人間の力

では、この流れに抗うために何が必要なのでしょうか。 私は3つあると思っています。
・熟考する力:すぐに答えを出さず、一呼吸置いて考える
・想像する力:相手の前後を想像して、今できることを考える
・心でつながる力:数字やタスクではなく、人間として相手と向き合う
これらは、AIには代替できません。 どれだけ技術が進化しても、「あの人に会いたい」「あの人に頼みたい」という気持ちを生み出すのは、人間の力です。だからこそ、意識的に育てる必要があります。
特に、組織のリーダーや上司の立場にある人が、気づき力を持っているかどうかで、チーム全体が変わります。
次回は、具体的に気づき力を上げる実践的な方法をお話しします。 長年異文化チームで働いて気付いたことは、「心の感度」を磨くのが必要だということ。


